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2023.01.26

令和5年度税制改正のポイント解説(資産税関係)

はじめに

令和4年(2022年)12月16日、政府与党より「令和5年度税制改正大綱」が公表されました。
今回は、公表された改正項目のうち、資産税(相続・贈与・譲渡)に関連する主な改正点についてご紹介します。
なお、改正法案は2月に国会に上程され3月に正式に可決成立する見込みですが、審議・採択の過程で修正・廃案となる可能性もありますのでご留意ください。

 

生前贈与財産の加算期間の延長【相続税】

相続税が見込まれる資産家の方にインパクトが大きい、資産税関連の改正項目でいちばんの要注目ポイントです。
相続税の計算において、これまでは相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の課税価格に加算されていましたが、改正により加算期間が7年に延長されます。
令和6年以降の贈与から順次適用され、完全適用は令和13年1月以降の相続からとなります。
なお、延長した4年間に受けた贈与については合計100万円まで加算対象から控除されます。

生前贈与財産の加算期間の延長

 

相続時精算課税制度の見直し【相続税・贈与税】

従来は、相続時精算課税制度を一旦選択するとそれ以後は少額の贈与でも贈与税の申告が必要で、かつ相続税の課税対象となっていました。税金対策としての効果があまり期待できず普及率が低い本制度でしたが、使い勝手を向上させる改正となりました。
今回の改正により、暦年課税の非課税枠とは別途毎年110万円の基礎控除が設けられ、この基礎控除内の贈与は相続税の加算対象からも除外されます。
また、精算課税制度により受贈した土地・建物が災害による被害を受けた場合、被害部分を控除したうえで相続税の課税対象とされます。
いずれも令和6年以降の贈与・被害から適用されます。

相続時精算課税制度の見直し

相続時精算課税制度の見直し2

 

空き家3,000万円控除の要件緩和・上限見直し【譲渡所得税】

空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、次の措置を講じた上で、その適用期間が4年延長され令和9年12月31日までとされます。

① 取壊し等の要件緩和(減税)
買主側で空き家の解体又は耐震改修工事を行う場合も適用対象とされます(譲渡の翌年2月15日までに取壊し等がされた場合に限る)。

空き家3,000万円控除の要件緩和・上限見直し

② 特別控除額の上限見直し(増税)
被相続人居住用家屋及びその敷地等を取得をした相続人が3人以上である場合における特別控除額が2,000万円とされます。

①・②とも令和6年以降の譲渡から適用されます。

 

改正により予想される今後の動向

生前贈与財産の加算期間延長は令和6年以降の贈与から適用されるため、本年中に駆け込みによる贈与が増加することが予想されます。
また、上記に加え相続時精算課税制度の見直しにより、相続税の生前対策として相続時精算課税制度を選択するケースが増えてくるものと思われます。
空き家3,000万円控除に係る改正のうち上限見直しについては、改正事項に該当する場合は本年中の譲渡を検討すべきでしょう。

 

終わりに

今回の改正の目玉である生前贈与財産の加算期間の延長と相続時精算課税制度の見直しについては、政府の目指す「資産移転の時期の選択による中立的な税制」・「相続・贈与の一体課税」というにはほど遠い感がありますが、資産家にとっては取り得る選択肢が増えたことには間違いありません。
しかも、従前に比べて暦年課税と相続時精算課税のいずれを選択するかの判断をより慎重に検討する必要があり、専門的知識をもって現状の分析と将来の予測を行うことが非常に重要になってきます。

ベイヒルズ税理士法人では、実際に相続が発生した場合の申告はもとより、生前における相続税シミュレーションや相続税対策の検討を通じて、生前贈与を含めた各種対策のご提案を積極的に行っております。
どうぞお気軽にご相談ください。

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