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2022.12.15

資産活用通信2022年12月号「事業承継に経営者保証に関する支援策を活用しましょう」

 

事業承継にとって経営者保証が大きな障害に

中小企業庁の資料によりますと、後継者候補がいても後継者候補が事業承継を拒否し、その理由として59.8%が「経営者保証をしなければならないこと」と回答しています。事業承継の課題の一つに、この経営者保証があります。

事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則

(1) 特則の位置付け

このような背景から、事業承継時に後継者の経営者保証を可能な限り解除していくため、事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則が令和2年4月1日から適用開始されています。

(2) 金融機関における対応

中小企業・後継者・前経営者から必要な情報開示を受けた上で、次のことが求められています。

① 前経営者の保証債務を当然に後継者に引き継がせず、経営者保証を求めない可能性や代替的な融資手法の活用可能性を改めて検討

② 前経営者の保証契約の解除につき、前経営者の実質的な経営権の有無、債権の保全状況、法人の資産・収益力による借入金返済能力等を勘案して、経営者保証の必要性等を適切に判断

金融機関が後継者に対して経営者保証を求めることは事業承継の大きな課題です。後継者に当然に保証を引き継ぐのではなく、保証契約の必要性を改めて検討するとともに、事業承継に与える影響も十分考慮し、保証に代わる融資手法の活用などを慎重に判断することが求められます。
検討した結果、後継者に保証を求めることがやむを得ない場合でも、経営者保証の必要性や解除のためにどのような改善が必要かなどを説明したり、適切な保証金額を設定したりするなどの対応も求められています。

(3)中小企業・後継者・前経営者の対応

中小企業・後継者・前経営者が経営者保証を提供することなしに事業承継を希望する場合には、次のような要件を満たすことが求められます。

① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離・社会通念上適切な範囲を超える法人から経営者への貸付等による資金の流出の防止
(例)
・ 経営者が法人の事業活動に必要な本社・工場・営業車等の資産を所有している場合、法人所有とすること 等

② 財務基盤の強化
(例)
・ 業績が堅調で十分な利益(キャッシュフロー)を確保しており、内部留保も十分な場合
・ 業績はやや不安定であるものの、業況の下振れリスクを勘案しても、内部留保が潤沢で借入金全額の返済が可能と判断できる場合
・ 内部留保は潤沢ではないものの、好業績が続いており、今後も借入を順調に返済し得るだけの利益(キャッシュフロー)を確保する可能性が高い場合 等

③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
(例)
・ 本決算の報告のほか、試算表、資金繰り表等の定期的な開示 等

また次のような状況であれば、事業承継時に前経営者の保証が解除されやすくなります。

① 前経営者が、形式的にも実質的にも経営から退く場合

② 前経営者が、法人から社会通念上適切な範囲を超える借入等を行っているときには、これが返済される場合

③ 法人の返済能力や担保が乏しく、金融機関が前経営者の資産を、信用補完上保全価値があるものと認識していた場合には、後継者等からの同等程度の保全が提供される場合

出典:TKC事業承継ニュース

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