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2021.09.15

資産活用通信2021年9月号「独りよがりの贈与では、後悔先に立たず!」

自分なりの贈与はハイリスク!

(1) 本音は、子・孫名義の積立預金は自分のモノ

ご本人に、この贈与について詳しくお尋ねすると「預金は積み立てているが、子や孫などには通帳を渡していないし、銀行取引印も自分で持っている。当然、子や孫は預金の存在自体を知らない。」という話に。また本音では、相続までは子や孫に預金を渡す気はなく、自分の病気入院・手術費用や介護施設などへの入居費用などでお金が不足すれば、子や孫名義で積み立てた預金を使うお考えでした。

(2) こんな贈与は、「名義借り預金」扱いに

長い間、子や孫名義で積み立て、預金残高を増やしていても、それは贈与ではなく、単に子や孫の名義を借りた借名口座、つまり、ご本人の財産として相続時には相続税がかかってくることに。自分なりの考えで、せっかく子や孫名義の預金をしても、あとで税務署と揉めることは請け合いです。
具体的には、次のような独りよがりの贈与では自分の財産とされてしまいます。

① 通帳用の印鑑は自分のモノ
子や孫の銀行口座の取引印はご本人の認め印で、自分の銀行口座の取引印と同じものを使っている。

② 贈与税の申告はしていない
1年間の贈与額は110万円以下で、(贈与税の)基礎控除額を下回っていたので、贈与税の申告はしたことがない。また、贈与税が生じていないから、申告をする必要はないと考えている。

③ 子や孫名義の預金を引き出したことがある
急にお金が必要になったときに、子や孫名義の預金を引き出した。

④ 月々、子や孫名義の預金積立てや保険料負担をしている
毎月の預金積立てや保険料支払は親(祖父母)がしていた。通帳や保険証券の管理も親がしている。

これが「定期贈与」だ !

お金を贈与する場合、毎月同じ時期に同額を贈与し続けてしまいがちです。例えば、毎年200万円を贈与しても基礎控除(110万円)のおかげで贈与税は9万円と非常に軽く、10年間根気よく贈与し続ければ90万円(の贈与税)の負担で、2,000万円を合法的に贈与できるわけです。
ところが、こうした贈与には落とし穴が…。

(1) 税務署はこんな見方をする

こうした贈与では、最初の贈与時に、「10年間にわたって、毎年200万円ずつ贈与する約束があった」(=定期贈与)とみなされてしまう恐れがあります。そうなれば、税務署は初めて贈与した年にまとめて10年分の2,000万円相当を、定期金に関する権利の贈与として、贈与時点での市場金利などに基づいて計算した金額で評価して、贈与税を課税してきます。
仮にその評価額を1,800万円とすれば、贈与税額は10年分の90万円ではなく、595万円と、6.6倍にもなってしまいます。後悔先に立たずです。

(2) それでも一般の方の意識は?

とはいえ、大方の見方は「何をいってるんだ。10年分割で2,000万円を贈与する契約などした覚えはない。」と定期贈与などしていないとの主張をすることに。そこで税務署と争うのなら、定期贈与でないことの証明など、かなり大変な作業や書類の作成などが待っています。こうした作業には多くの時間を割かねばならず、当然コストもかかってしまいます。

(3) 無益な税務署との争いよりも、正しい贈与を

子や孫などに迷惑をかけずに贈与をされるなら、適切な贈与のやり方を学び、贈与時期や贈与額を変えて贈与をするのが賢明です。独りよがりの贈与では、せっかくの子や孫を想う気持ちが伝わらず、却って親が面倒なことをしてくれたと言われかねません。

贈与をするなら、いらぬ指摘を受けないよう専門家に正しい手順を学び、正々堂々と愛情のこもった贈与を行いましょう。

出典:43NAVI㈱コンサルティング・アルファ

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