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2022.01.25

令和4年度税制改正について

令和3年12月10日税制調査会より、令和4年度税制改正大綱が発表されました。
税制改正大綱には個人所得課税、資産税課税、法人課税、消費課税、国際課税について様々な改正内容が記されていますが、本稿では今回は昨年一部世間を騒がせた贈与税の改正についてお伝えさせていただきます。

贈与税の改正・・・大改正は見送り

令和3年の後半以降、一部のメディア等が令和4年度に贈与税について大改正が行われると予想したことで、税制改正に対する関心が一気に高くなったことは皆様の記憶にも新しいことと思います。

・贈与税の基礎控除(110万円)が廃止されるのではないか
・暦年課税が廃止され、相続時精算課税に一本化されるのではないか
・相続税の課税財産に取り込まれる生前贈与の期間が現行3年から5年や10年等に延長されるのではないか

などが予想されており、とりわけ110万円の基礎控除が廃止されるという噂は、私どもも色々なところで耳にし、またご質問もお受けしましたが、当然「仮に110万円の基礎控除が廃止されると相当大きな影響も出ると思いますが、改正が行われるか否かは現時点ではなんとも言えません」と回答せざるを得ませんでした。

生前贈与は、相続税の節税の観点から見るとその仕組みをよく理解し、上手に利用すればリスクも低くリターン(節税効果)も大きい方法ですので、既に活用されている方やこれから節税対策を行おうとする方は、改正の行方を、固唾を飲んで見守っていたのではないでしょうか。

結論から申し上げると、令和4年度の改正においては贈与税については大幅な改正は行われず、「住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置等の延長・見直し」(後述)と、事業承継税制における「特例承継計画提出期限の延長」が行われるにとどまりました。

まさに「大山鳴動して鼠一匹」の少し拍子抜けするような結果となりました。但し、「今年度については」ですが・・・。

「贈与税の大改正」が予想された背景

そもそも贈与税の大改正の可能性が注目されるようになったのは、次のような文言が令和2年12月10日付けの令和3年度税制改正大綱に記載されていたことに端を発しています。

わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。(中略) 相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止に留意しつつ、資産移転の時期の中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

誤解を恐れず、ごく簡単に言うと「富裕層による暦年課税制度を利用した過度の相続税節税を抑制しよう。そのために暦年課税制度のあり方を根本的に見直そう。」ということです。令和3年度税制改正大綱に贈与税の改正を本格的に進めるとされているので、令和4年度の税制改正においていよいよ見直し(改正)が具体的になると予想されたのです。

今後の行方と対応

前述の通り令和4年度税制改正大綱において贈与税の大改正は行われませんでした。
一方で令和4年度税制改正大綱には次のような記述もされています。

わが国では相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため将来の相続財産が比較的少ない層にとっては生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

おわかりの通り、ほぼ令和3年度税制改正大綱の文言と同じです。
つまり贈与税の大改正については継続的に検討されるということです。

当面の対応としては、相続税対策としての生前贈与は現在のところ有効であるので、従来通りの手法で進めていくことになるかと思います。

但し、今後の税制改正について常に注視し改正内容に応じた手法の変更を検討する必要があります。また、改正の内容次第では生前贈与実行の効果として想定していた節税効果が得られない可能性があることも覚悟しておかなければならないのではないでしょうか。

令和4年度税制改正の具体的な改正の内容

【直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等】

1.適用期限 令和5年12月31日まで2年間延長する。

2.非課税限度額
(1)耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
(2)上記以外の住宅用家屋 500万円

3.適用対象となる既存住宅用家屋の要件
築年数要件を廃しし、新耐震基準に適合している住宅用家屋であることを加える。
但し、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋につては、新耐震基準を住宅用家屋とみなす。

4.受贈者の年齢要件を18歳以上に引き下げる。

5.改正の適用時期
(1)1~3の改正については令和4年1月1日以後の贈与により取得する住宅取得資金に係る贈与税について適用する。
(2)4の改正については令和4年4月1日以後の贈与により取得する住宅取得資金に係る贈与税について適用する

まとめ

生前贈与は、相続税の節税対策のみならず将来の遺産分割対策としても有効であることはもちろんのこと、高齢世代に偏在する財産を早期に次世代の若年層に引き継ぐことで若年層の生活の充実や安定を可能とし、また若年層が有効にお金を使うことで経済の発展にも寄与する可能性をもっています。
一方で利用方法を誤ると思わぬ税負担が生じたり親族関係が悪くなったり、あるいは贈与を受けた側の経済的な価値観を狂わせたりする恐れがあります。
積極的な活用をお勧めするとともに、専門家に相談するなど慎重な検討をしていただければと思います。

ベイヒルズ税理士法人では生前贈与、相続、相続税対策、その他幅広いご相談に対応しております。是非お声がけください。

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