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2024.04.15

資産活用通信2024年4月号「事業承継のトラブルの種『準共有』」

 

相続人が結託すれば会社存続の危機に

相続が発生した時、遺産分割協議が終わるまでの相続財産は、原則として相続人らが共有する状態になります。これを民法では「準共有」といいます。分割協議がスムーズに終わればよいが、相続人の間で同意が得られず協議が終わらないと、いつまで経っても相続財産は準共有の状態となってしまします。

この準共有が大きなトラブルの種になるのが、事業承継に当たっての自社株の引き継ぎです。例えば死亡した先代社長が900株を持っていたとします。相続人が3人の子だけで、遺言がなければ900株は3人の準共有状態となります。準共有なので、遺産分割協議が終わるまで、900株は「法定相続分に沿ってそれぞれが300株ずつ持ち合う」のではなく、1株1株がそれぞれ「3人の共有」状態となります。そして準共有となった株式の議決権は、「その権利行使の決定方法を、過半数をもってこれを決する」と規定されています。つまり後継者以外の複数の相続人が結託すれば「全株式の過半数」を得て、全議決権を持つこともあり得るのです。

実際に遺言を残さずに先代社長が、死亡してしまったため、後継者ではない次男と三男が結託して全株式の議決権をネタに長男を脅した事例もあります。長男は議決権を得る引き換えとして、二人に法定相続分を大幅に超える相続財産を譲らざるを得なかったといいます。

こうした事態を未然に防ぐためには、何はなくとも先代がしっかりしているうちに遺言を残しておくべきなのは言うまでもありません。最低でも遺留分を考慮に入れた遺産分割を遺言で指示しておけば、トラブルは大きくならなかったはずです。さらに言えば、そもそも生前のうちに後継者に自社株を譲っておけば、自社株の散逸リスクは防止できたでしょう。

出典:納税通信

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