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2024.06.15

資産活用通信2024年6月号「みなし贈与に要注意」

 

みなし贈与とは?

贈与者の「無償であげます」という意思表示に対し、受贈者が「もらいます」と応えることで、原則として贈与は成立します。つまり、贈与は当事者双方の合意による「契 約」であるといえます。
しかし、「双方合意の契約」が存在しない財産の受け渡しであっても、贈与税を課す「みなし贈与」のルールが例外的に設けられています。そうしたケースでは本来の贈与とは異なり、双方の合意が不要なため、当事者間では贈与を行ったという認識がありませんので、「気付かないうちに税金が発生していた」ということもあり得ます。

(1) 生命保険の満期保険金

みなし贈与の典型例として挙げられるのが、生命保険の満期保険金です。 保険料を支払う契約者と保険金の受取人が異なっていると、満期保険金や解約返戻金に贈与税がかかることになります。仮に、若いころに定期の生命保険に加入し保険金の受取人を妻にしていたとします。 そのまま満期を迎えて妻が保険金を受け取ると、妻に贈与税が課されてしまいます。贈与税の負担を避けるためには、満期を迎える前に受取人を保険料の負担者本人に変更しておくべきです。契約者も受取人も夫とする保険でしたら、 保険金は夫の一時所得となるため、所得税が課されるものの、課税対象となるのは、受け取った保険金の総額からすでに払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに特別控除額50万円を差 し引いた額の2分の1のみです。基礎控除110 万円を除いた全額に課税される贈与税と比べて、 実際の税負担を格段に軽くすることができます。

(2) 低額譲渡

ほかに考えられるみなし贈与の可能性としては、 財産を「著しく低い価額」で譲渡(低額譲渡)したと判断されてしまうケースが挙げられます。具体例としては、所有する不動産や株式などを子どもに低額で譲渡するような場合です。2007年の東京地裁の判決では、価額が「著しく低い」かどうかの判断は、その財産の種類や性質、取引の実情をもとに行うとの基準が示されました。土地の譲渡については時価の80%を下回るとみなし贈与と判断される恐れがあるといます。
みなし贈与と認定されて課税される場合、財産の評価は相続税評価額ではなく取引価額で行うことになります。このため、相続税であれば特例が適用される土地や建物などの不動産であっても税優遇を受けられず、事実上割高な税が課されること になりかねません。

(3) 負担付贈与

また低額譲渡と似た事例としては、借入金と一緒に資産の贈与を受ける「負担付贈与」があり、こちらもみなし贈与として課税対象となります。譲受した財産と、財産と一緒に引き継いだ借金の差額について贈与税が課税されます。低額譲渡と同様、財産の評価額は相続税評価ではなく取引価額で決められるため、重い税負担を課されることとなります。

 

財産を移動させる前に税理士に相談を

贈与には当然ながら税金がかかります。しかし気付いていなかった「みなし贈与」を後から指摘されると、本税に加えて追徴課税の対象ともなりかねません。加算税や延滞税などのペナルティーを避けるためにも、資産移転にあたっては専門家に相談し、慎重にことを運ぶようにしましょう。

出典:納税通信

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