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2022.10.25

「相続」を「争続」としないために遺言書を作成しましょう

遺言書の種類

遺言書には下記の3種類があります。

1. 自筆証書遺言

「自筆証書遺言」とは、遺言者が全文・日付・氏名を自署し、押印することによって作成される遺言書です。

・メリット

手軽に作成でき、費用が掛からない。

・デメリット

記載や作成方法の不備により遺言が無効になる可能性がある。

遺族が遺言書の存在を知らない場合、死後に遺言書が発見されない場合がある。

2. 公正証書遺言

「公正証書遺言」とは、公証人が遺言者の口述内容を筆記し、遺言者および証人2名以上が署名・押印することによって作成される遺言書です。

・メリット

紛失、改ざんなどの可能性がほぼない。

公証人が作成時に法的有効性について形式面のチェックを行うため、遺言が無効とされる可能性がほぼない。

・デメリット

費用が発生する。

戸籍謄本等を収集する必要がある。

3. 秘密証書遺言

「秘密証書遺言」とは、遺言者が自分で用意した遺言書を2人の証人と同行して公正役場に持ち込み、その存在を保証してもらう遺言書です。

・メリット

手続きの際に公証人と証人に内容を公開する必要がなく、誰にも遺言の内容を知られない。

署名と押印だけ自分で行えばよく、他の内容はPCでの作成、他人の代筆が認められている。

・デメリット

誰にも内容を公開しないことから不備があっても判らず、遺言が無効になることがある。

公正証書遺言の作成には、費用が発生し、戸籍謄本等の収集が必要ですが、効力発生が確実で安心できます。
確実に遺言を遺されたいのであれば公正証書遺言の作成をお勧めします。

遺言書でできること

基本的に遺言書には何を書いてもかまいません。
但し、書くことで法律上の効力を有するもの(拘束力のあるもの)は限定されています(「遺言事項」)。

(遺言事項の例)

1 祭祀継続者の指定
2 相続分の指定または委託
3 遺産分割方法の指定または指定の委託
4 最長で5年間の遺産分割の禁止
5 特別受益の持ち戻しの免除
6 相続人相互間の担保責任の指定
7 遺贈
8 遺留分減殺方法の指定
9 財団法人の設立・財産の拠出
10 生命保険受取人の変更
11 信託の設定
12 認知
13 未成年後見人・未成年後見監督人の指定
14 相続人の廃除または排除の取り消し
15 遺産執行者の指定または指定の委託

このように遺言書を作成することで、分割対策だけでなく、節税対策にも効果的です。遺言書作成にあたっては、適切な分割と節税の両面を考えることが必要になります。事前に相続税の試算と節税のプランニングを専門家に相談することをおすすめします。

 

遺言書を作成するメリット

1. 生前に財産を残す者を決められる

遺言書は法定相続分に関係なく、財産を残される方の意思によって遺産分割ができるため、長男の妻や孫など法定相続人以外の者、例えば、特別にかわいい孫や、身体が不自由な子に多めに財産を残したい、相続人以外の世話になった人に財産を譲ることもできます。
また、財産をあげようと思っていた子供が自分よりも先に亡くなってしまう場合を想定して、子供の代わりに財産をもらえる人を指定することもできます。
ただし、特定の相続人の遺留分を侵害するような遺言書を作成する場合は、慎重に検討する必要があります。

2. 相続人同士が揉めることなく相続手続きができる

遺言がない場合は相続人の遺産分割協議により遺産の分割が行われ、相続人同士の話し合いにより、誰が、どのような割合で、どの遺産を相続するかを決定していきますが、このような話し合いが揉めることなく纏まるとは限りません。
遺言を残しておけば、その遺言が最終意思として尊重されます。
例えば、法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、遺言書で配偶者へ全財産を相続させる旨を記載しておけば、その通りに相続されますが、遺言がないと兄弟姉妹にも相続権があるため、兄弟姉妹から遺産の分割を請求される可能性があります。
相続人としてふさわしくない者に、分割することができない不動産等を残したくない場合は、遺言書を作成した方がよいでしょう。

3. 未成年者が相続人の中にいると相続手続きが複雑になるが、それを避けることができる

遺産分割協議を行う必要がないため、相続人の中に未成年者がいても家庭裁判所で特別代理人の選任は不要となります。
その他、法定相続人に行方不明者、認知症患者がいる場合、遺言書を作成しておけば、特別代理人や行方不明者の財産管理人を選任しなくても相続手続きを進められるので、相続手続きに必要な時間と費用が節約できます。

まとめ

遺言書には、なぜこのような遺言書を残すのか、どうしてこのような分割としたのか、相続人への思いや願いなどを書くこともでき、法的な効力はないものの、相続人には少なくない心理的な影響を与えるものと思います。
特に偏った財産分割を行う場合は、その理由を明らかにすることは非常に有意義だと思います。

遺言書があれば相続人同士の遺産分割協議でモメることがなく、遺言者の意思に沿った分割が行われます。
また遺産分割協議が纏まらないことにより相続税申告書を申告期限までに提出できなくなる恐れが減ります。
「相続」を「争続」としないためにも遺言書を作成することをおすすめします。

終わりに

ベイヒルズ税理士法人では相続税の心配や不安を「安心」に変えられるよう、じっくりとお話を伺い、納得していただけるまで丁寧にご説明することを心掛けています。
どうぞ気軽にご相談ください。

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