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2021.11.15

資産活用通信2021年11月号「相続税調査からみえる調査の実態」

資産税関連担当職員は3,651人に!

(1) 東京国税局管内には3割超が配属

全国の税務署で、資産税(=相続税、贈与税、譲渡所得など)の事務に従事する職員の定員は2019年度末で3,651人で、うち3割超の1,132人が東京国税局管内に、18%が大阪国税局管内で従事しています。名古屋国税局管内の従事者まで含めると62%が大都市圏に所属しており、この3局管内に資産家と評価の高い不動産が集中している状況が見えてきます。

(2) 調査日数は意外にかさんでいる!

① 担当職員の調査事務割合は20%しかない!
担当職員も常に調査対応しているわけでなく、実際は内部事務(資料情報事務、申告審理や納税相談)に80%を費やし、調査事務に割く割合は20%に。
また、税目別では相続税事務が約32%、贈与税事務が約7%、譲渡所得事務が約16%、その他の管理事務が約45%と、相続税関連の事務量が多くなっています。
② 調査日数から見ると
1件当たりの実地調査日数は相続財産の階級により大きく異なり、低階級(相続財産1億円未満)では11.2日、中階級(同1億円~5億円未満)が13.0日で、高階級(同5億円以上)に22.0日をかけています。
つまり、相続財産数や複雑事案の多さから、調査日数を要しているとみられます。

実地調査の内容と調査結果

多くの方の関心事、銀行口座などへの実地調査の状況やその結果などをご案内しましょう。

(1) 銀行口座のチェックは実地調査では当たり前に

相続税申告書作成時点では、会計事務所も被相続人や相続人などの名義の預金口座を少なくとも3年分は遡及して贈与の有無などを調べるのが通常ですか、相続税の実地調査でも被相続人や相続人などの預金口座を調べる銀行調査が(表にはでませんが)つぎのようなレベル(実施率)で行われています。

▪ 低階級  75.1%
▪ 中階級  80.6%
高階級  89.1%

つまり、大多数の事案で銀行調査は行われており、会計事務所にとっても相続申告の際の事前の預金確認は必須といえましょう。

(2) 相続財産の階級によって非違内容に特徴あり!

相続財産のうち土地と有価証券について比較すると、土地では低階級では相続税の申告義務に気付いていない可能性などが考えられ、一方、高階級では、高度な土地評価方法などの点が問題になりやすいことがうかがえるようです。

◎土地
▪ 低階級 : 申告漏れ 41.7%、評価誤り  6.1%
▪ 高階級 : 申告漏れ 12.5%、評価誤り 38.3%

◎有価証券
▪ 低階級 : 評価誤り 2.4%
▪ 高階級 : 評価誤り 75.8%

(3) 重加算税賦課割合の高いのが低階級!

意外かもしれませんが、実地調査での重加算税賦課件数(1,541件)中、相続財産の階級別では中階級のうちの1億円~3億円未満が最多の847件(55%)に。一方、重加算税の賦課割合でみると、同低階級の5千万円~1億円未満が24.1%と最も高くなっています。
その理由は、①低階級では実地調査件数や更正件数そのものが少なく、重加算税の負荷が1件あると割合が高くなりやすいこと、②相続税申告がされていない無申告件数が相当数あるとみられることのようです。

出典 : SDG相続ドック

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